2017年10月23日月曜日

【知らなきゃ損する】クラウドファンディングの投資の税金

 クラウドファンディングは、資金を調達する「調達者」と資金提供を行う「出資者」に加えて調達者と提供者を仲介する「クラウドファンディング運営業者」の三者によって成り立っており、税金の仕組みも少し複雑になっています。
 基本的に個人としてプロジェクトを開始するための資金調達(出資)を行うのか、はたまた事業主として資金調達(出資)を行うかによって税法も大きく異なってきますので、正しく理解しておかなければなりません。

購入型クラウドファンディングの税金
 

〇資金調達者
 個人事業主の場合は所得税、法人の場合は法人税

〇出資者(投資家)
 個人事業主や法人でなく普通の個人である場合、確定申告不要 です。
 購入型クラウドファンディングは税法上、製品の購入と変わらないと解釈されますので、個人で行う場合は確定申告の必要ありません。ただし個人事業主や法人が支援を行う場合、その製品(商品)が事業に必要なものであれば経費として費用の計上を行うことが可能です。


寄付型クラウドファンディングの税金

寄付型のクラウドファンディングは資金調達者が個人か法人化?、出資者が個人か法人か?の組み合わせにより4つのパターンがあります。
 税法では寄付は税務上、「税金逃れとして寄付を使う」ということを防ぐために細かい取り決めがあります。
 購入型の場合は税務上は商品売買という形が取られていたのに対し、寄付はリターンがない場合が殆どで見返りがあった場合も寄付金に見合わないものが多いため、投資商品としては成り立ってはいないのですが、クラウドファンディングの種類ということでここで取り上げます。

 
ターン①:個人→個
 

〇資金調達者(個人)
 贈与税:1/1~12/31までに受け取った贈与額から基礎控除額は110万円を差し引いたものに、贈与税がかけられる

〇出資者(個人投資家)
 課税無し、寄付金控除はありません 。まずは調達者も支援者も個人の場合です。個人の支援者が寄付を行う場合は税務上の処理はありません。そのため、いくら「寄付」と言って確定申告や年末調整を送ってもふるさと納税のような控除の対象にはならないということになります。コンビニや24時間テレビで募金をよく目にすると思いますが、その募金に対して控除が受けれないのと同じです。

 問題となるのは資金調達者で、110万円を超える調達額には贈与税が課せられます。寄付は基本的にリターンがないため税務上では「贈与された」という扱いになるため気をつけておかなければなりません。

[贈与税の計算方法]
贈与税=(贈与額-基礎控除額)×税率
※基礎控除額は110万円のため、調達額が110万円以上の場合課税対象
※税率は国税庁:一般贈与財産用(一般税率)を参照


パターン②:法人→個人
 

〇資金調達者(個人)
 所得税:一時所得として所得税の対象となる

〇出資者(法人投資家)
 法人税:一般の寄付金扱いとなり、損金限度額を限度として損金算入が可能 です。こちらは資金提供を行う支援者が法人、調達者が個人の場合です。

 この場合パターン①:個人→個人とは異なり、法人から調達した資金は一時所得とされるため調達者には所得税が課せられます。所得税ということは必要経費が認められるということなので、クラウドファンディング運営業者に支払う手数料や一時所得の特別控除(50万円)を差し引いたものに税率を掛けたものが税額です。

[所得税の計算方法]
所得金額=調達額-必要経費-特別控除
所得税=所得金額×税率
※所得金額が195万円を超える場合は控除額あり
※税率は国税庁:No.2260所得税の税率を参照
 資金提供を行った法人には法人税法が適用される場合があります。
 税務上の費用として計上できる範囲内であれば税金は発生しませんが、費用とできない寄付を行った場合、”寄付した資金を収益からマイナスできない”ということになり、税務上の利益が実際より大きく計算されて支払う法人税が増えるという結果になるため注意が必要です。

パターン③:法人→法人


〇資金調達者(法人)
 法人税:寄付金が受贈益となり益金の額に算入される

〇出資者(法人投資家)
 法人税:一般の寄付金扱いとなり、損金限度額を限度として損金算入が可能 です。
 調達者、支援者共に法人の場合。この場合資金を調達するのも法人のため、調達者にあたる法人にも法人税法が適用されます。上記でも解説しましたが、寄付金をリターン無しで受け取っている=受贈益が計上されるという事となり、その結果として税務上の利益が増えて、支払う税金が増えてしまうということです。

 しかし、受贈益は経費などを差し引く事ができるため、実際に資金調達を行ったからと言って税金が増えるということは滅多にありません。クラウドファンディング自体必要な資金しか集めないという仕組みですので、大抵の場合は集まった資金はプロジェクト費用として使われ、受贈益の費用として差し引かれてしまいます。

 次に支援者についてですが、支援者に対する税法も法人であることから法人税法が適用される事になります。ただし、パターン②:法人→個人とは異なり資金提供先も法人のため、指定寄附金や特定公益法人に対するものが含まれてくる可能性があるので、気を付けておかなければなりません。

 仮に、指定寄附金や特定公益法人に対する寄付ということであれば税務上の費用にできる額も増え、計上することで税金を減らすといったことが可能になります。

パターン④:個人→法人
 

〇資金調達者(法人)
 法人税:寄付金が受贈益となり益金の額に算入される

〇出資者(個人投資家)
 課税無し、寄付金控除無し

 最後に個人から法人へ資金提供を行う場合について。この際も資金を調達する法人には法人税法が適用されます。パターン③:法人→法人同様受贈益が発生しますが、受贈益はプロジェクト費用として諸経費を差し引くことができるので法人税額を減らす事が可能です。
 また、支援者にあたる個人についてはパターン①:個人→個人と同じで特になにもありません。ただし資金調達者が法人であるため、所得税法上の特定寄附金に該当するものであれば確定申告をすることで税金が安くなる場合があります。


融資型(ソーシャルレンディング)、投資型(ファンド型)の税金
 

〇資金調達者
 個人事業主の場合は所得税、法人の場合は法人税

〇出資者
 出資時の時点では無し 。

 日本国内の融資型(ソーシャルレンディング)、投資型(ファンド型)は匿名組合方式で組成されることが多いため、配当金は雑所得として総合課税の対象となります。分配金は源泉徴収税(20.42%)を控除した金額となり、給与所得と退職所得以外の所得が20万円以上ある場合は確定申告を行わなければなりません。
※源泉徴収税は20.42%(所得税20%+復興特別所得税2.1%)ですが、本人の給与所得額などによって変化します。税率が確定するのは確定申告の時です。 ※所得が20万円以下の場合は原則として確定申告を行わなくてもいい様になっていますが、確定申告を行う事で還付を受けられる場合もあります。

投資型(株式型)の税金


〇資金調達者
 個人事業主の場合は所得税、法人の場合は法人税


〇出資者
 出資時の時点では無し

 株式型は税務上は有価証券の取得と同様の扱いとなります。分配金は源泉徴収税(20.42%)を控除した金額となります。※融資型(貸付型)、投資型(ファンド型)と同様に所得が20万円以下の場合は原則として確定申告を行わなくてもいい様になっていますが、確定申告を行う事で還付を受けられる場合もあります。
 株式の配当を受け取ることになりますが、適用される税率が上場株式と違います。上場株式の税率は20.315%(所得税15.315%、地方税5%)ですが、投資型(株式型)クラウドファンディングの配当金の税率は20.42%(所得税20%+復興特別所得税2.1%)となっています。

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